[Hanae] クリスティーヌ・ラガルド:卒業式の演説辞退について

クリスティーヌ・ラガルド:卒業式の演説辞退について

こんにちは!日本は夏休みまでまだまだありますが、スミス大学は先週で終わりました。最後の一週間寝不足で死ぬかと思いました(笑)。

さて、今回は月曜日に発表された2014年度のスミス大学卒業式でスピーチを送るはずだった、マダム・ラガルドの辞退について書きたいと思います。実は今、私はキャンパスに残りスミス大学の同窓会の準備を手伝っています。そのおかげでマダム・ラガルドの辞退について様々な意見を生徒達の生の声で聞いています。今では全国ニュースにもなっている程です。スミスはまた一段と有名になりました(笑)。

マダムが辞退した経緯ですが一番始め、まだ雪が積もっている時期に学長が今年度の卒業式の演説者を発表したときでした。マダム率いるIMF(国際通貨基金)の方針に疑問や不満をもつ生徒がすぐさま反対をし、キャンパスでは様々な意見が飛び交っていました。IMFは簡単に説明すると経常収支が悪化しがちな国にお金を貸す機関です。ですが無茶な返済を要求するとされ、資金を貸りた国が返済の為に保険や教育方面での予算を削る、あえてその国の状況を悪化させている、など問題点が指摘されています。その事が原因で、スミス生の中には署名を集め学長やマダムに直接嘆願書を書いた人もいたそうです。

学長も多くの反対意見から、スミスの経済学部の教員達にIMFのパネルを開いてもらい、工夫を施し生徒達を説得しようと試みていました。学長がもとっも強調したかったことは、マダム・ラガルドはIMFの理事長の前に、一人の女性リーダーとして私たちスミス生が尊敬するべき人物だと言う事でした。そしてマダムがIMFの今までの方針を変えようとしていることも指摘され、最初は反対していた生徒達も次第に納得していきました。ですが、やはり一部のスミス生は納得できず、最後まで講義を続けていました。

そして反発している生徒達を除きすべて順調に進んでいたと思った矢先、マダムから学長に辞退の手紙が届いたのが卒業式の八日前でした。理由は、「沢山の生徒達が反対している中、スミスの大事な儀式で自分の存在が卒業生やその家族達の妨げになることは避けたい」との事でした。

最終的にはスミス生やその家族、そして教員や卒業生の殆どがマダムの演説を楽しみにしていたと私は感じています。ですがたった一部、反発していた生徒達の声が大きく、マダムの辞退につながったとのことです。ちなみに急遽代わりに卒業式の演説を勤める事になったのは、スミス大学9代目学長・ブラウン大学18代目学長のルース・シモンズです。

さて、ここから先は主に私の意見ですが、実際殆どの生徒達の意見でもあると思います。まず私は、今回マダム・ラガルドが演説者として発表された当時からとても楽しみにしていた一人です。昨年とった経済発展のクラスでIMFの方針はすでに承知していました。ですが、経済の場では未だに女性リーダーが断然少なく、私や数多くの経済学部の生徒達や教授達はマダムの功績を認めていました。マダム・ラガルドと言う人物は世界有数の経済誌、フォーブス(Forbes)、の「世界で最も影響力のある女性100人」のうち、7位に名前が乗っている人物です。私たち大学生がマダムの演説を聴けるチャンスなどは多分これから先ないでしょう。彼女はそれだけすごい功績をあげている人物なんです。

スミス生のいい所は自分の思っている事をはっきり言う、そして自分の意志を曲げない所です。ですが、今回の件で、それだけではいけないと思い知らされました。大半の意見を押し切ってまで、反発する価値があるものなのか?そして、今回の件がスミス大学にとってどういった代償になるのか?学長が言っていた通り、私たちはこれから先、その答えを探さなくてはなりません。将来IMFで働きたくても今回の件が理由で採用して貰えない・スミス卒業生でIMFに勤めている人たちの面子・世間体、こういったことは上辺だけですが、こういったことも考慮する必要があると思います。

今回ばかりは少し、いえかなり残念な気持ちを抑えられません。多くの人たちがこの稀な機会を楽しみにしていたと思います。積極的に行動することも大事ですが、スミス生の中には私たちがどれだけ恵まれているのか、今一度考えるべきだと私は思います。

下の写真はスミスのキャンパスセンターです。いい天気で嬉しいです!

コメント

このブログの人気の投稿

[Momoha] 自己紹介

スミス大学の学食について

スミスと日本の大学の違い